還元法と紫外線
2002年の秋と2005年の秋に、東京の上野きもの美術館の屋上で貝紫染の講習会を行いました。還元法を屋外で行ったら、赤紫にならずに青紫になりました。これは、紫外線が臭素(Br)をはずしてしまいインジゴが強い貝紫になってしまうためと思われます。よって、還元法は紫外線の影響を受けにくい屋内で行うべきと考えます。
ソーピング
染色後、余分についた染料や不純物が取り除くため、ソーピングを行います。私自身、ソーピングを行うことは大事だとは思っていますが、あまり好きではありません。高温でソーピング剤を入れて行うと、大体みな同じ赤味の強い紫になってしまいます。これは、熱によって青味のインジゴが脱落して堅牢度の強い6・6ブロムインジゴが残るためだと思われます。
建て方によって青味の強い貝紫、青味の強い貝紫ができ、それがソーピングによって同じような赤紫になってしまうのは私はおもしろくありません。
そこそこの堅牢度でいいのなら、染色後、水洗いして酸処理だけで(絹は、アルカリに弱いため酢酸などで中和してやる)もいいのではないか。
青味の紫も赤味の紫も、自然がくれた色ですから、それを織物に生かせたらいいと思う。
ちなみに、貝紫の堅牢度は各種試験において4級から5級といったところで、天然染料の中では強いほうだと思います。書物の中では、一度染まったら絶対退色しないとか書いてありましたが、それはありえないと思います。